【500メーターズ第5回会議・レクチャー議事録】
日時:2013/9/4 (水)19:30~
場所:越山計画
作成者:スギモトナオキ
《第1部》レクチャー「美術館の役割について」
講師:柴勤 様(北海道立近代美術館学芸員)
配布資料はFacebookにてPDFを設置します。余分はどなたかが預かっているかと思いますが必要であればコピーします。
以下、口頭でのキーワードをまとめました。
■美術館はただ展覧会をするだけでなく、教育普及活動(例えば美術講演会やミュージアムコンサートなど)もそれと同じ位置づけで、お互いに作用し、高め合う関係で存在する。
■美術館は、展示作品だけでなく美術館という“場”を使って来場者の心を豊かにする。
(…例えばフランスでは、常設展が無料で開放されている場合がほとんどで、来場者は食事や読書など鑑賞以外の目的で利用しているような場所となっている。行政が文化の普及のために日本の10倍もの予算を出している背景もある。)
■近代美術館では、開館以来30数年に渡り、講演会などのイベントを開催してきたが、今でも方法を模索し続けている。知ってもらう努力ををし続けなければならない。しかし、美術の普及は美術館の中だけでは限界があるため、外とのネットワーク、環境づくりが重要になってくる。
■作品をどう見せたいかと同じくらいに、来場者はいったいどんなときに美術館に訪れるかというような鑑賞者側からの視点を常に意識しながら企画を考えている。そのため、市民の声・ニーズを調べることも大事。
■500m美術館について
・500m美術館という場そのものを楽しんでもらうといった視点もあり。
・通常の美術館と違い、目的に集客が含まれていない。
・鑑賞目的でない人でも鑑賞が可能。今日の美術館のように閉ざされている“箱”タイプの美術館ではない。
・作品の保護についてはいってしまえば程度問題であり、通常の美術館では最初の鑑賞者と最後の鑑賞者に同じクオリティで提供しなければいけないことが多いが、触れる前提の作品、砂澤ビッキの作品のように風化も含めたものも効果的に展示できる。
《休憩時間》 「福原先生による青森レポート」
※2013.9.13追記
後日改めて福原先生からレポートが投稿されます。
若干内容にズレがあることが懸念されるため、誤解防止も兼ねて
一旦ここの部分を削除いたします。ご了承ください。
《第2部》「第5回500メーターズ会議 」(20:40~)
出席者:杉本、福津、津田、佐々木、南、金、福原(部分参加)、キーボーさん(部分参加)
結論でいえば、今回の会議の目標の「仮テーマ決定」には至らずでしたが、今までにあがっていた「アートピース」「大蝦夷絵巻」「美術史入門」などについて詰められる箇所を詰めました。 念のため、これまでのそれぞれの概要について記載します。
【アートピース】
…アーティストの方に何か小さな媒体となるものを送り、それをもとに作品を制作し返送してもらう。返送されてきたものを壁面上で構成する。
【大蝦夷現代絵巻・詩歌】
…500m美術館のどちら側から見てもストーリーになっているという展示。具体的には作家の人に文章を依頼し、“言葉”を使った視覚化した展示となる。
【美術史入門】
…500mでこの時期に行うのに最適なものは何か、といった点から生まれた案。2014年7月より開催の札幌国際芸術祭に向け、主に現代美術とは何かを解説するような展示を一部に設けるといったもの。
以下、会議内容です。
■アートピースについて
・前回会議終了後の飲み会にて、アートピースとして送る媒体に往復ハガキはどうかという意見(展示の物理的な制約や経済面などの現実的な問題をクリアしているため)
→今回の会議にてハガキというアナログな手段を用いる理由が若干弱い点が指摘された。
・媒体の案として北海道特有の地域的な日用品など(具体案は出ず)をそれが一般的に定着していない地域に送って作品化してもらうのはどうか。
→立体物を運ぶのは経済的に厳しいのではないか。
・媒体はハガキとして不特定多数の一般の人に配布し、それぞれが見たい分野の人にそれを送るのはどうか(企画内容はハガキに記載)
→500メーターズ自身が“一般の人”という肩書きで集まっているので、500メーターズの中だけで可能ではないか、という意見があった。
■大蝦夷現代絵巻について
・135mある展示部分において“言葉”はメディア次第で拡大などがある程度自由が効くことから物理的には十分可能ではないか。
・先に出たアートピースのハガキと結びつけて、ハガキに言葉・文章を直筆で書いてもらえば、手書き感を残しつつ拡大処理などを行い、展示することができるのではないか(原本もアクリルケースなどで保護して展示)。
・柴さんからハガキなら版画という手段もあるとのご意見もいただいた。
■美術入門について
・500メーターズ企画内の中でさらに展示スペースを割いて行うというような方向で前回まですすんでいたが、500メーターズ企画の中で分けるのはあまりよくないといった指摘がされていたため、改めて500メーターズとしてやる意味はあるのかという点で話し合いをしたところ、別スペースを設けてまで行うものではない、という結論に至った。
もし、そういった要素を設けるならばQRコードを用いたものかフリーペーパーで代用が可能でもあり、展示作品の近くに関連要素として用意する程度でいいのではないか。
・“美術入門”に変わる名称が必要ではないかという意見もあった。
→保留
■テーマについて
柴さんより
・500メーターズが結局「何を見せたい」のかが見えにくい。
・どうすれば鑑賞者がどうしたら作品を見てくれるのかという工夫についても重要ではないか。
・今の段階から招致したいアーティストとコンタクトを取りはじめてもよいのではないか。
というご意見をいただいた。
これをうけて、まず企画のテーマが明確に決まっていないことが原因であると認識。
これまでのテーマの有力候補であった「価値観を変える」だったが、アート全てにいえることではないかとキーボーさんからもご指摘をいただいて、「価値観を変える」でいくとするならば「○○についての価値観を変える」の○○の部分にあたるもの、または全く新しいものの設定が必要であるとの結論に至ったところで会議が終了した。
■その他(会議終了後)
・500メーターズの見せたいものとして、それぞれが今後の活動が期待されるような若手作家(アーティストの卵?原石?)をピックアップするのはどうか。
例として上がったのが以下の人物
○橋本わこ(津田案)…札幌市立大3年/着物クリエーター/着物雑誌「こゆるり」編集長
[参考]札幌人図鑑→http://sapporojinzukan.sapolog.com/e399279.html
○OOOO[オーフォー](金案)…京都にギャラリーとショップを構えながら活動する男性4人で構成されるアートグループ
[参考]Kaikai Kiki Gallery→http://gallery-kaikaikiki.com/category/artists/abr_geisai/oooo/
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●まとめと今後に向けて
今回の会議では、「美術入門」については特別、スペースを設けては行わないということが決まりました。そしてテーマについては500メーターズが何を見せたいのかを改めて検討する必要が出てきました。「価値観を変える」だけでは曖昧で不十分なので、もう一歩踏み込んで明確なものにすることが必要です。具体的なたたき台がなければ話が進まないと思うので、各自次回までに案を用意してくるといいと思います。事前にFB等で発表で公開しておくのも一つの手です。
また、会議の進行方法ですが、従来の全体で意見を出し合う形式と少人数グループで分けて意見を出し合ったあとに全体でグループ毎に意見を出し合うといった形式を上手く使い分けると効率が上がるかもしれません。
【次回会議予定と今月中のスケジュール】
○次回会議
日時:9月11日(水) 19:30~
※自主会議のためレクチャーがないので長時間会議が可能です。また、佐野さんキーボーさんは不在だと思われます。
場所:未定…CAI02は使えない模様。未確認です。
内容:テーマの決定
○次々回会議
日時:9月25日(水) 19:30~
場所:CAI02
内容:テーマ確定、(当初の予定では企画展タイトル決定)
長文、お付き合いありがとうございました。
スギモトナオキ